片頭痛(偏頭痛)の原因や症状について

片頭痛(偏頭痛)とは

片頭痛とは

頭の片側、もしくは両側がドクンドクンと脈を打つたびに痛みに襲われる頭痛、それが片頭痛です。痛みの発生する原因としては諸説ありますが、主に脳内の中の血管が拡張する事が原因とされています。

精神的なストレスや身体的なストレスなど、何らかの事が原因で脳の中の血管が拡張し、脳の中にある一番大きな神経である「三叉神経」を圧迫します。圧迫された三叉神経は脳の刺激を伝える物質である神経伝達物質を放出します。その神経伝達物質のうちの1つにセロトニンがあり、このセロトニンが片頭痛を発生させる原因物質とも言われています。

1度片頭痛の症状が出ると痛みのピーク時1~2時間を含めて4~5時間はつらい時間が続き、最大で約3日間続きます。頭痛の痛みに伴って随伴症状である吐き気や嘔吐、普段は気にならない光や音、臭いが不快に感じる現象がおきます。動くと痛みが更に悪化するため、対処法として痛みが引くまでは光や音が気にならない暗い部屋で静かに寝ているという方も多いようです。

片頭痛の前兆とは

片頭痛には痛みが起こる直前に前兆が現れないタイプと、現れるタイプに分ける事ができます。

前兆が現れないタイプ

下記の条件を満たす発作が過去に5回以上ある。

・頭痛の発作が4~72時間続く
(治療を受けていない、または治療を受けても効果がない場合)

・次のうち、少なくとも2項目を満たしている
片側性頭痛
拍動性頭痛
中等度~重度の痛み
階段の昇り下りや歩いたりするなどの日常行う動作により痛みが強くなる。

・頭痛の症状が出ている最中、少なくとも次のうち1項目を満している。
吐き気、嘔吐のどちらか、もしくは両方
光や音に過敏に反応する

・頭痛以外の原因となる病気がほかにない。

前兆が現れるタイプ

前兆画像

下記の条件を満たす発作が過去に2回以上ある。

・次の項目のうち、少なくても1項目を満たす発作が過去にあった。ただし運動麻痺の症状は出ない。
1.一部目の前が見えなくなったり、キラキラした点や光が見えるなどの一時的な視覚の症状がある。
2.感覚が鈍くなったり、チクチクする感じを感じる感覚症状がある。
3.完全可逆性(しばらくすると元に戻る)の失語性言語障害

・次の項目のうち少なくとも2項目当てはまる物がある。
1.両目で見えている景色のうち、左右どちらかの同じ側が見えない視覚症状、または片側だけの感覚症状、もしくはその両方。
2.少なくとも1つの前兆が5分以上かけて少しずつ進行、または別の複数の前兆が引き続き5分以上かけて進行する。
3.それぞれの前兆が5分~60分続く。

・前兆のある頭痛が起きている最中、もしくは前兆後60分以内に、【前兆が現れないタイプ】の片頭痛が起きる。

・頭痛以外の原因となる病気がほかにない。

前兆が現れるタイプの中でも一番多いのが視界に影響が出る症状ですが、これを「閃輝暗点」と言います。

閃輝暗点

視界の中にキラキラした光やギザギザの光が現れて目を閉じても見える現象です。視界の一部が欠けて見えなくなる事もあります。

この症状は5~40分くらいで視野の中で広がって、徐々に視野の外へと消えていきます。この症状が治まった後に頭が割れてしまいそうな程の激しい片頭痛に襲われる事が多いです。頭痛は3~4時間ほど続き、たいてい強い吐き気や嘔吐を伴います。

閃輝暗点は後頭部にある「視覚野(しかくや)」の血流が何らかの理由で悪くなり、その後改善されて血流が良くなると起こるとされています。片頭痛も脳の中の血管の拡張や収縮に影響されて出る症状なので、同じく視覚野への血流の影響で症状の出る閃輝暗点の症状が片頭痛と連動して現れやすいという訳です。

病院を受診する場合は

閃輝暗点の症状が2回、3回と頻繁に起こるようであれば、病院へ行く事をオススメします。

まずは眼科へ行き、眼の異常によるものではないか検査を受けましょう。特に異常が見つからなければ次は神経内科を受診しMRIなどの精密検査を受けて下さい。

特に40代以上の方で閃輝暗点の症状が出たのに、その後頭痛が起こらない場合は脳梗塞や脳腫瘍が原因となっている事があるので心当たりがある場合は早急に病院で診察を受けて下さい。

発症の仕組み

脈を打つようにズキンズキンと痛む片頭痛。その痛みは一体どのような仕組みで起きているのでしょうか。

片頭痛の発生原因には諸説あり、1960年代から提唱されている「血管説」や片頭痛の症状とともに現れる随伴症状を元に考えられた「神経説」などがありますが、現在一番これではないかと言われている仕組みが血管説と神経説をあわせた「三叉神経血管説」です。アメリカの神経学の研究者モスコビッツにより1984年に提唱されました。

三叉神経血管説とは

血管とセロトニン

精神的や肉体的なストレスが原因で脳の中の血管が拡張し、その血管が脳の中で一番大きい「三叉神経」を圧迫します。

圧迫された神経は神経伝達物質を放出しますがその物質のうちのひとつにセロトニンがあり、このセロトニンが片頭痛の原因物質とされています。

なぜセロトニンが片頭痛を発生させる原因物質と言われているのでしょうか。それはセロトニンと深く影響しあっているセロトニン受容体との関係があります。セロトニン受容体は神経伝達物質の受容体の中で最も種類があり、5-HT1~5-HT7の種類の中にさらに14種類ものサブタイプ(細分されたそれぞれの型)が存在しています。

特にその中でも脳の中に多く分布している5-HT1B受容体と5-HT1D受容体の二つは脳の血管に深い影響を及ぼします。

5-HT1B受容体は血管を収縮させる作用をもっており、5-HT1D受容体は血管を拡張する物質を抑制する働きがありますが、この二つがセロトニンと結合する事でそれぞれの働きを促し、脳内の血管が広がる事で痛みがでる片頭痛を改善してくれます。

一見セロトニンがとても良い効果をもたらせてくれているように見えますが、血管の拡張を押さえる事に活躍してくれたセロトニンは時間の経過と共に体内で代謝されその量が減っていきます。そうすると一旦は収縮した脳の血管が、セロトニンが無くなった事で再び拡張してしまいます。血管が再び拡張する事でまた脳内の神経を圧迫し、再度傷みが発生するというわけです。

この片頭痛の痛みの原因となっているセロトニンの役割をしてくれるのがトリプタン製剤です。

トリプタン製剤であるマクサルトやリザクトはセロトニンの代わりに5-HT1B受容体と5-HT1D受容体の二つに結合してくれます。この二つの受容体に結合する事により、脳内の血管の収縮を促し、血管を拡張させる物質の放出を抑制させるため片頭痛の症状が和らぐというわけです。

ウサギ型とカメ型

片頭痛といえども、色んな症状の出方があります。頭痛の痛みがピークに達するまでの時間を考えるとウサギ型とカメ型に分類する事ができます。

ウサギ型は片頭痛の症状が出てから痛みのピークに到達するまでの時間が1時間以内で、その頭痛の症状が出ているときには通常なら何でもないような刺激がすべて痛く感じる状態になってしまい、薬の効果もあまり出なくなるようなタイプの事を言います。

カメ型は片頭痛の痛みがすこしずつジワジワ押し寄せるような感じの痛み方で、このぐらいなら大したことないと薬を飲むのを我慢しているうちに、気がついたら我慢できないくらいまで痛みが酷くなってしまうタイプの事を言います。

ウサギ型は痛みが出始めてからあっという間に頭痛が進行していきます。そのため薬をのむタイミングを逃すとその後に服用してもあまり効果が期待できません。頭痛が起きたらすぐに服用する事が大切なので常に薬を携帯し、痛みが起きたらすぐに服用するというのを徹底する事で改善する事ができます。

カメ型は痛みがジワジワと進行していくため大丈夫だと思い服用を先延ばしにしがちです。そのため気がついた時には頭痛が悪化し酷い状態になっている事になりがちなので、片頭痛がやってきたと思ったら我慢せずに早めに服用する事が大切です。

アロディニアとは

アロディニアについて

片頭痛の痛みが起こっている際に、普段は何でもないような刺激(非侵害刺激)が痛みとなって感じてしまう事をアロディニアと言います。この症状が起きてしまうと、効きのいいトリプタン製剤なども効きにくくなるという弊害があるため片頭痛の症状が出た場合は早めの服用が大切です。

このアロディニアの症状に関しては、症状の出ている本人でさえあまり把握していない事が多いので、事前にチェック項目を把握しておく事が大切です。頭部に近い部分が傷む場合は頭部アロディニアと呼ばれますが、頭部だけではなく手足のしびれや腕時計、ベルトなどが不快になる症状を頭蓋外アロディニアと言います。

頭部アロディニア
・風が顔にあたると痛みを感じる
・髪の毛がぴりぴりと痛い感じがする
・髪の毛を結んでいるのが痛くてつらい
・ブラシや櫛で髪を梳かすのが痛くてできない
・眼鏡やイヤリングが不快でつけられない
・痛みが出ている部分が枕にあたると痛すぎて寝られない

頭蓋外アロディニア
・手足のしびれを感じる
・頭部以外の部分がぴりぴりと痛い
・腕時計が不快で付けられない
・ベルトがきつくてつけられない
・毛布や布団が体に触れるのが不快

アロディニアとは

片頭痛は血管の拡張と血管の炎症が脳幹部にある三叉神経に伝わる事で起こる頭痛ですが、顔の知覚を脳に伝達してくれる三叉神経が片頭痛の痛みによって刺激されると頭部の末端である顔や頭皮の知覚が過敏になり頭部アロディニアが起こります。

この抹消感作(三叉神経)を通過して片頭痛の情報が中枢神経にまで到達すると感覚神経の痛覚を受容する領域が広がり、頭痛側とは反対側の上肢を中心として違和感が生じます。これが頭蓋外アロディニアです。

アロディニアとは

片頭痛の治療は大きく2種類に分ける事ができます。1つは片頭痛が起こった時になるべく早く痛みを抑える治療法である急性期治療(頓挫療法)で、もう1つは片頭痛の痛みがある日もない日も変わらず毎日薬を飲む事で片頭痛の発作を起こりにくくし、頭痛の発作が起きたとしても軽くすむようにしてくれる予防療法です。

片頭痛の発作回数が月に数回程度で、片頭痛による日常生活への影響があまり大きくない場合は急性期治療を中心に行います。

片頭痛の発作の回数が多い場合や日常生活への支障が大きい場合は急性期治療と予防療法の二つを組み合わせて治療をする形になります。予防療法ははっきりとした効果が現れるまでに1~2ヵ月くらいかかるので、最低でも2ヵ月は治療を継続して様子を見て下さい。

急性期治療には市販されている薬も含め広く鎮痛剤が使用されています。国内でも2000年以降から片頭痛にとてもよく効くトリプタン製剤が使用可能となり、たくさんの片頭痛持ちの方が恩恵をうけました。

急性期治療は、片頭痛の症状を速やかに小さくし、片頭痛持ちの方の機能を回復させる事を目的として行われるものです。片頭痛の急性期治療薬としては非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤、制吐薬があります。

軽~中等度の頭痛にはナプロキセンやアスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬の使用、中~重度の頭痛の場合はトリプタン製剤が推奨されています。その他軽~中等度の頭痛でも過去に非ステロイド系消炎鎮痛薬を使用しても効果が無かった場合はトリプタン製剤が推奨されています。

急性期治療で使用される薬

アセトアミノフェン
軽~中等度の片頭痛発作に効果がありますが、非ステロイド系消炎鎮痛薬に比べて効果が低い事から制吐薬との併用投与が勧められています。2013年の慢性頭痛の診療ガイドラインでは推奨グレードAのランクです。

非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)
軽~中等度の片頭痛に対して痛みや随伴症状を効果的に改善させるため、ガイドラインでは軽~中等度の片頭痛に対して一番最初に使用を推奨する薬とされておりグレードAのランクとされています。トリプタン製剤と同じように頭痛の発作の初期に服用しないとあまり効果がありません。

エルゴタミン製剤
トリプタン製剤を使用する事で片頭痛の発作が一時的には良くなるものの、24~27時間以内に再び片頭痛の症状が見られる方には効果的とされていて推奨グレードBとされています。しかし妊婦や授乳中の方の使用は出来ません。

制吐薬
片頭痛の症状と共におこる悪心や嘔吐などの随伴症状に効果があり投与方法も経口、静脈注射、筋肉注射、座薬などと選択肢が広く副作用もあまりない事からガイドラインでは他の片頭痛薬との積極的な併用を勧めています。

トリプタン製剤
ガイドラインにおいて片頭痛発作の急性期に有効な治療薬としてグレードAとされています。国内で処方が可能なトリプタン製剤は5種類あります。トリプタン製剤は服用するタイミングがとても大切で、頭痛がおきはじめて直ぐに服用すると効果があります。すでに痛い時や痛みがかなり強くなってからだと服用しても効果がありません。

スマトリプタン(商品名:イミグラン)

薬の効果が下がる半減期が約2時間と短いので服用してから2時間が経過しても効果が足りない場合はさらにもう1錠(50mg)の追加が可能です。経口投与した場合の吸収率があまり高くないため皮下注射薬のキット(自分で注射可能)や点鼻薬もあります。

ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)

スマトリプタンに比べ、経口投与した場合の吸収率が高くなっており脂溶性も良くなっています。経口薬だけではなく口腔内速溶錠もあります。効果の出る時間はスマトリプタンより劣りますが、効果が持続する時間は長いとされています。

エレトリプタン(商品名:レルパックス)

血中濃度が1~1.2時間と早いわりに半減期が3.2~3.9時間と長いので即効性と片頭痛の再発率の低下が期待できる薬です。

リザトリプタン(商品名:マクサルト)

トリプタン製剤の中で一番早く効果が現れ、その効果が無くなるのも早い薬です。服用してから2時間後の頭痛改善率も一番良い薬です。

ナラトリプタン(商品名:アマージ)

半減期が約5時間、血中濃度も持続性があるためトリプタンを服用して2時間後くらいに再び片頭痛の発作が出る場合にも効果があるとされています。しかし血中濃度が一番高くなるのが2.7時間のため即効性に欠けます。

頭痛が始まって直ぐにマクサルトを服用すれば早い人では15分後には効果が現れ、1時間後には片頭痛自体が消えるという脅威のスピードで効果を発揮してくれます。この機会にマクサルトのジェネリック医薬品リザクトのサポートを受けてみてはいかがでしょうか。

予防療法

急性期治療だけでは片頭痛によって生活上に支障が出るのを十分に改善する事ができない場合に行われます。片頭痛の予防療法にはカルシウム拮抗薬、β遮断薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、があります。

カルシウム拮抗薬(成分名:ロメリジン)
ロメリジン10mgはガイドラインにおいてグレードBとされています。

β遮断薬(成分名:プロプラノロール)
プロプラノロール20mgから使用を開始し、1日の使用量を20~60mgとして経過観察を行う方法がガイドラインでグレードAとされています。

抗てんかん薬(成分名:パルプロ酸、ガバペンチン、トピラマート)
片頭痛持ちの方の大脳皮質神経細胞の過剰な興奮性を抑える事で片頭痛の予防効果が現れるのではないかとされています。パルプロ酸400mgの内服による治療がグレードAとされています。

抗うつ薬(成分名:アミトリプチリン)
片頭痛予防効果のあるアミトリプチリン10~60mgの使用をガイドラインでグレードAとされています。

その他の薬
リシノプリルやカンデサルタンが片頭痛の予防に効果があるとされており、ガイドラインではグレードBとされています。

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