不思議の国のアリス症候群の原因や症状、治療方法とは

不思議の国のアリス症候群の原因や症状

不思議の国のアリス症候群の原因や症状、治療方法とは

不思議の国のアリス症候群ってなに?

不思議の国のアリス症候群

不思議の国のアリス症候群という病名を聞いた事があるでしょうか。かわいらしい名前ですが、一体どのような症状の事を言うのでしょうか。

この病名は1955年にイギリスの精神科医John Toddにより名付けられたものです。その対象となる症状は、眼に大した障害は見られず外の世界がいつもと同じように見えるのに対し、一方では特定の対象物が実際の大きさよりもすごく小さく見えたり、とても大きく見えたりする現象です。
例えば蚊が数十センチもおおきな物に見えたり、自分よりも大きいはずの母親がすごく小さくなってしまったように感じたりします。

外の世界が実際よりも小さく感じる事を小視症、外の世界が実際よりも大きく感じる事を大視症、また歪んだように感じる事を変視症と呼ぶ事もあります。

この不思議の国のアリス症候群には色んな種類がありますが、対象や位置が限定されているのが特徴です。
例えば人の顔を見た時にだけこの現象が現れたり、視野の右、もしくは左半分だけが実際よりも2倍の大きさになったように感じたり、テレビに映っている人物の顔と体のバランスが実際とは異なり何頭身なのか確認できなくなったりします。

また大きさだけではなく色覚についても異変が起きる事があり、自分の母親が緑色に見えたりします。色覚だけではなく時間の感覚も実際とは違ったように感じ、実際よりも遅く進んだり早く進んだり感じる場合もあります。

発症の仕組み

痛みのある水疱ができる感染症の事をヘルペスウイルスと言いますが、その一種のエプスタイン・バール (EB) ウイルスに感染した場合の初期に引き起こされる中枢神経系の炎症でこの症状が報告される場合が多いようです。このウイルスの発見者の頭文字を取ってEBウイルスと呼ばれています。

このEBウイルスは世界中の全人口のうち95%以上が感染していると言われており、国内だと1~2歳で約50%、3歳までには約70~90%が感染すると言われているほど多くの人が感染しているウイルスです。

このウイルスに感染しても特に目立った症状が出ない場合も多く、もし現れたとしても軽い風邪のような症状で済んでしまうためあまり重要視されません。

しかしT細胞、B細胞、NK細胞の種類がある免疫細胞の中の主にB細胞に初感染をし、症状が急激に現れる急性期を過ぎても体の中から外へ出て行かず、血液や上皮細胞に潜伏した状態のまま感染した状態となります。感染者の免疫力が落ちた時に潜伏していたウイルスが目覚めて活性化し、感染者の唾液の中に出てきます。

このように、ウイルスが潜伏しているものの、再び活性化する性質は帯状疱疹(たいじょうほうしん)にも見る事ができるヘルペスウイルス属の特徴です。

EBウイルス感染経路

感染は感染者の唾液を介してうつる経口感染です。キスや飲み物の回し飲みなどで人から人へ簡単に感染してしまいます。
その他感染者の咳やくしゃみなどで飛び散った唾液を吸い込む事で感染する「飛沫感染」もあります。

EBウイルス潜伏期間

EBウイルスは感染後30~50日感染者の体内で潜伏した後発症します。ウイルスは唾液、鼻汁、咳などから数ヵ月にわたって排泄されるためほぼ確実に回りの人に感染します。
また感染者のうち15~20%の人はウイルスを体内に保持していながら症状が全く表には出ないタイプのため、本人も周りの人も感染に気がつきません。

EBウイルス初感染に注意

EBウイルスは初めて感染する年齢によって症状が変わってきます。乳児の場合だと約80%は感染しても症状が軽く、感染しても症状の出ない「不顕性感染」のタイプが多く見られます。
初めて感染する年齢が遅ければ遅いほど症状として表にでる確率が高くなります。
思春期や20~30代に初めて感染した場合は感染者の30~35%に肝機能障害などを引き起こす「伝染性単核症(でんせんせいたんかくしょう)」という症状を引き起こしたりします。

基本的な治療法

日本ではほとんどの人がEBウイルスに感染しているため、子供の頃に不思議な体験をした人はこのウイルスへの感染が原因だった可能性があるようです。

EBウイルス感染症に関しては、初期感染が乳幼児期の場合はほとんど症状の出ない不顕性感染となりますが、年齢が高くなればなるほど初感染すると発症の確率が高くなり肝機能障害などを起こすような症状の重い伝染性単核症になる場合があります。そのため感染が疑われる場合は経過観察が大切になります。

・ひどい倦怠感が数日~1週間ほど続く
・38度以上で一日のうちの熱の高さの差が1度以上ある弛張熱が続く
・扁桃炎、咽頭炎
・全身のリンパ節が腫れる(特に首)
・舌に赤いポツポツのできる苺舌になる
・まぶたが腫れる
・発疹が出る
・食欲が低下する
・肝臓や脾臓が腫れて大きくなる

上記のような状態になった場合はEBウイルス感染症の次の段階の伝染性単核症になっている可能性があるので速やかに医療機関を受診して下さい。

EBウイルス感染症が疑われる場合は、子供の場合は小児科、思春期以降なら内科を受診する事をオススメします。
病院での治療法は、今のところ有効な治療薬は無いので発症している症状に対しての対処療法となります。高い確率で細菌による混合感染を起こす事があるため抗生物質を処方される事もあります。

子供の頃に不思議な体験をしても、大人になればほとんどの方は不思議の国のアリス症候群が出なくなるようですが、中には大人になってもその症状に悩まされる方もいるようです。
大人になってもこの症候群に悩まされる方は片頭痛持ちの方が多く、この症候群の名前の由来になっている「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロル自身も片頭痛に悩んでおり、だからこそこの物語を書けたのではないかと言われています。

片頭痛以外では他のウイルスによる脳炎、統合失調症、てんかんの方からの報告があるようで、まれにこの症状がうつ病の前触れであったという報告もあるようです。

医療機関で治療する場合は脳神経外科や神経内科を受診しましょう。現時点では明確な治療方法は確立されていませんが、片頭痛やてんかんの症状が出ているようであればそれらの症状を抑える薬を服用する事で改善を目指します。

周りに理解されにくい病気ですが、もし1人で悩んでいるようでしたら信頼できる医師を探して治療への一歩を踏み出してみましょう。

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